ベルヌーイ分布の応用2

統計学 統計学

統計検定2級の過去問を問いたら面白い問題がありました。2問紹介したいんですが、この記事が2問目です。1問目の記事のリンクを貼っておきます。

ベルヌーイ分布の応用1
統計検定2級の問題で、面白い問題があったので解答を載せます。母比率の検定の問題ですが、ベルヌーイ分布から二項分布を作ります。次に、二項分布から正規分布正規分布を作り、数を比率に書き換えて答えを出します。

紹介するのは、幾何分布 の導出の問題です。 公式を覚えていればそれでおしまいですが、ベルヌーイ分布だけ知ってれば大丈夫です。それ以外は全て忘れていても大丈夫です。
幾何分布は、例えば以下の本の6章で紹介されてます。

問題設定

セールスマンがアポなしで個人宅に飛び込み営業をします。在宅の家に当たる割合は0.1 です。セールスマンの飛び込み営業で在宅に当たるまでの、飛び込み回数が従う確率分布を求め、期待値と分散を計算しなさい。

解答

セールスマンが飛び込み営業すると、在宅か留守かの家に当たります。
この事象は\( k=0 \)が留守、\( k=1 \) が在宅を表す、\( p=0,9 \) のベルヌーイ分布で表せます。1
$$\begin{eqnarray}
f(k|p ) = p^{k} (1-p)^{1-k}
\end{eqnarray}$$
セールスマンがX回目で在宅に当たるとすると、ベルヌーイ分布で\( k=0 \)を\(X-1 \)回引き当てた後に、\( k=1 \) を引くことになるので、以下の確率分布が表れます、
$$\begin{eqnarray}
f(X|p ) = p^{X-1} (1-p)
\end{eqnarray}$$
期待値と分散を求めましょう。2
$$\begin{eqnarray}
E[X] = \sum_{X=1} X p^{X-1} (1-p) =(1-p) \sum_{X=1} X p^{X-1}
\end{eqnarray}$$
ここで、\( \sum_{X=1} f(X|p ) =1 \)を思い出して、 pで微分しましょう。
$$\begin{eqnarray}
\sum _{X=1} \left( (X-1) p^{X-2}(1-p) – p^{X-1} \right) &=& 0 \\
\sum _{X=1} (X-1) p^{X-2}(1-p) &=& \sum _{X=0} p^{X}
\end{eqnarray}$$
足して1になる式を少し式変形すると、テイラー展開の式が得られます。
$$\begin{eqnarray}
\sum_{X=0} p^{X}= \frac{1}{ 1-p}
\end{eqnarray}$$
これと、期待値の式を使って、微分から出てきた式が少し書き換えられます。
$$\begin{eqnarray}
\sum _{X=1} (X-1) p^{X-2}(1-p) &=& \frac{1}{ 1-p} \\
\sum_{X=1} X p^{X-1} (1-p)&=& \frac{1}{1-p} \\
E[X] &=& \frac{1}{1-p}
\end{eqnarray}$$
3この計算から、在宅に当たるまでは、10回は頑張れと言う事が分かります。
次に、分散を計算しましょう。
$$\begin{eqnarray}
V[X]= E[X^2] – (E[X])^2
\end{eqnarray}$$
言わずもがな、\( E[X^2] \)を計算しなくてはいけません。
$$\begin{eqnarray}
E[X^2] = \sum_{X=1} X^2 p^{X-1} (1-p)
\end{eqnarray}$$
期待値の式を\(p \)で微分すれば、 \( E[X(X-1) ] \)なら出てきそうです。
$$\begin{eqnarray}
E[X(X-1) ] &=& \sum_{X=1} X(X-1) p^{X-1} (1-p) \\
E[X]’ &=& \sum_{X=1} X (X-1) p^{X-2} (1-p) – \sum_{X=1} Xp^{X-1} \\
\frac{1}{ (1-p)^2} &=& \frac{1}{p} E[X(X-1)] – \frac{1}{(1-p)^2 }
\end{eqnarray}$$
4微分の中に\( E[X(X-1)] \)があるので、式変形して何とかなりそうです。
$$\begin{eqnarray}
E[X(X-1) ] &=& \frac{2p}{(1-p)^2 } \\
E[X^2] &=& E[x] + \frac{2p}{(1-p)^2 } \\
&=& \frac{1+p}{(1-p)^2 }
\end{eqnarray}$$
これで分散が計算出来ます。
$$\begin{eqnarray}
V[X] &=& E[X^2] – (E[X])^2 \\
&=& \frac{ 1+p }{ (1-p)^2 } – \frac{1}{(1-p)^2} \\
&=& \frac{p}{(1-p)^2}
\end{eqnarray}$$
という訳で、分散は \(0.9/0.01 =90 \)です。
問題の答えは、期待値10, 分散90 の幾何分布に従う となります。公式は覚えてなくてもなんとかなりますが、絶対覚えてた方が楽だし、実務ではググった方が良いと思います。ベルヌーイ分布だけ覚えていれば何とかなる、というのが面白くて紹介しました。

まとめ

  • セールスマンの飛び込み営業をベルヌーイ分布で表した
  • ベルヌーイ分布から幾何分布を導出した
  • 幾何分布の期待値や分散を計算した

  1. 普通、kとかpの設定は逆にすると思います。
  2. 公式を忘れていても何とかなるような計算をします。
  3. 教科書とかだと、\(E[X] =1/p \) となっていることが多いですが、在宅と留守の事象の割り振りを逆にすれば同じになります。
  4. \( 1/(1-p ) \)を微分した式を使って、\( \sum X p^{X-1} = 1/(1-p)^2 \)としました。
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